『僕が君を殺すまで』
『僕が君を殺すまで』柳沢ゆきお
「殺人を犯したものはすべからく死刑とし、その刑の執行は加害者が殺人を犯すまでの過程を完全再現した空間で被害者に扮した執行人が行うこととする」
目には目を歯には歯を。加害者に被害者の苦しみを追体験することで贖罪、懺悔させ、そして人命の尊さを人々に示すため、この「新死刑法」が制定された世界。
恋人を殺した死刑囚(織田)と、その殺された恋人(渡瀬)と同じ顔を持つ死刑執行人(水谷)。確固たる絶望的な結末を知りながらも惹かれ合う二人。複雑な相関図の中で描かれる情緒は素晴らしいの一言。連載誌の移動やページ数の問題もあってから後半で失速したのが心底悔やまれるがそれを抜きにしても傑作。